引き出し。

忘れていた。


でも覚えていた。


その感覚は一瞬で、儚くて。見ようとすればするほど、薄くなっていった。


最初に感触。そのあと匂い。そして本。右目の奥のほうに見えたもの。

ほんの一瞬で流れこんできた。


確かに在って、またすぐ終われた。