家の匂い

好きなものを探り始めて4日目。

気がつけば好きなものが食べ物で占拠されている。

それでもいいのだけれど、今日はわざとに食べ物以外を探してみた。

 

どこかに遠出をする時、「そうそう、あれ持っていかなきゃ」と思うものがある。

それは「家の匂い」。

と言っても、何も家の空気を持っていくわけでも、専用の機械で匂いの成分を集めたりするわけではない。

お気に入りのタオルを1枚、ひょいとカバンに入れるだけ。それだけで「家の匂い」を外へ持って出ることができる。

最初は、乗り物酔い防止のためにタオルを持って出かけるようになった。

昔は乗り物酔いをよくしていた。公共の乗り物の車内特有の匂いにやられることが多くて、そんな時は持って出たタオルに鼻と口を埋めるようにする。なんだか落ち着く。

そうしていれば、たいてい乗り物酔いをやり過ごせた。

 

家の匂いというものがあって、それは一軒一軒違うものだ。と最初に気が付いたのは幼稚園ぐらいだろうか。

自分の家の匂いと祖父母宅の匂いが違うこと気が付いた。

ふとした瞬間「あ!これ知ってる」という匂いに出会うことがある。匂いを嗅ぐと記憶がおまけで付いてくる。

私は匂いの好みははっきりしている方だと思う。

匂いって大切だ。

様々なことが鼻から入ってくる。

お腹を鳴らすような匂いも、顔をしかめてしまう匂いも、嬉しくなる匂い、一緒に嗅ぎたくなる匂い、

懐かしい気持ちも、愛おしく思う気持ちも匂いになって全部鼻から入ってくる。

 

通りのいい鼻で、いたいと思う。