好きなものに気づくたび、そこには必ず昔の記憶がくっついてくるということがわかってきた。
小さい頃、外でうどんを食べる時は、必ずわかめうどんを食べていた。
きつねうどんよりわかめうどん。
子供ながらに、甘いおあげのその甘みが、せっかくの出汁に合わない気がして、うどんはずっとわかめうどんを食べていた。わかめうどんの匂いはそんな思い出を引っ張りだしてくる。
反対に、フレンチトーストは家で食べるものだった。
四角い食パンに卵と牛乳とお砂糖を混ぜた液体をしみ込ませる。美味しい食べ物だなと思った。
家のフレンチトーストが好き。
今日久しぶりに作ってみた。トロトロして上手くひっくり返せなかった。
砂糖が少なかったせいか、甘みが足りなくて、上からハチミツをかけて食べた。
美味しい、けれどやっぱり母が作ったフレンチトーストにはかなわない。
その味を重ねながら平らげた。
食べながら、私は目の前の幸せと、昔の幸せの両方を味わっている。