話しかける。
返事はないけど。
体の細胞に、寝ていいよと話しかける。
すると、一つ一つの細胞がふーっと大きく息を吐いた気がした。
知らぬ間に緊張させていたようだ。
意識ははっきりしている。はっきりした頭で、休んでる体を観察したり、いろんなことを考える。
一つ一つの細胞に話しかける。
いつも耳を傾けることが多かったけど、こうやって話しかけるのもいいものだなと思う。
自分の体を、別のものとしてみることは、大切なことだなと思った。
そもそも、私のものって思っていること自体が違っていた、という可能性もある。
時々、ほんの一瞬、ここいてここにいないような気がする時がある。
体と意識がほんの少しずれる。背中のあたりがすうっとぞわっとする。
赤と青の二重になった絵を、赤と青のセロファンが入った専用のメガネで見ると、立体となって飛び出してくる。
このからだが立体の物として動くことはできるのは、体と意識と、外からの目。
それがあるおかげなのかなと思う。
生まれてから、自然が不自然になって、不自然が自然になっている。
最初の自然ってなんだろう。
体に残されている自然を見つけに行く。
それはきっと底の方。
重い体を利用して沈み沈み、沈んでいく。
使いきったら、自然にまた上がってこれるはず。
どうやっても変わらないことがある。
それはとても大切なこと。
それでいい。
そうなのだから。
とうもろこしの実を軸から外す。
つるっとした表面。キュッと寄った一粒一粒。
ポロポロ、抜けるように、外れていく。
綺麗だなと思う。