思いつき話

話しかける。

それが私の中でぐるぐる回っているだけなんだと気付いたのはいつ頃だろう。

すごくすごく話している。

そんな気がしていたのに、声を発して、はっと気づく。

声になってないんだと。

いつかあふれて、流れ出て、大きな声が出るんじゃないかと。

そんな期待ばかりしていても、そんな調子の良いことは起こらず、

私の話は声にならずに内側をぐるぐるぐるぐる駆け巡る。

 

意味ないよこんなこと。何も伝えれてないじゃない。

そう気付いて悲しくなる。

溢れる気持ちは、溢れるだけ溢れて、溢れて溢れて溢れるのに底が見えない。

次々湧いて出てくる。

バカじゃないかと思う。

子供だと思う。

わがままで、身勝手。

中年の女のすることじゃない。

でも中年の女がすることってどういうことなんだろう。

 

大人って何だろうと考える中年女。

情けない。不甲斐ない。

でもその女は私。

 

(「大人の私」より)