一つの流れ

重く重く、言うことを聞かないそれは、

ズトッ、ドシャっと音を立てたかと思えば、ポロポロと崩れていったり。

元ある形からさらに小さく小さく、中心に向かって吸い込まれていくように、

自らを自らで押しつぶしていくような、その先にあるのは、

吸い込まれ続けて、必要最小限の物質しか残らない、そんなもの。

でも、その瞬間それは訪れた。ごくごくわずかとなったその空間の奥から

衝動と言う生き物が暴れでようとする。ペタンコでクシャクシャになった紙風船に

一気に空気が送り込まれるみたいに、シワとシワの間、圧縮された中のわずかな隙間を

抑制されて、抑え込まれて、限界を超えた動物が気が狂ったみたいにそこから

出てきた。

ドゴッ、ドゴッと体の中で音がする。押し込められた体が獣によって形作られる。

気がつくと私は立っていて、数歩前と歩いていた。

石だった時のことを思い出し、「そうだ石だった」と改めて動き直す。

 

ほんの数秒の出来事だけれど、わたしの体は変化して、変化する前のことを

記憶として覚えていた。

石から命が生まれる。植物は石になる。

すごくすごく大切なことのように思えるので、ここに書いて残しておこう。

 

わたしは忘れる生き物。そして動く物。

忘れてしまうから、記憶に残して、それを呼び起こせるように。

忘れてしまうけど、いつでも呼び起こせるように。

それができるように。動いていこう。