暑い部屋と本

部屋が暑い。

外に布団を干せないので、かわりに部屋に置いてある椅子に布団をかけておく。

そうするだけで窓からの強い日差しで布団がホカホカになる。

子供の頃、夏のいいお天気の日に干してもらった布団を思い出す。

外で干せていない分、匂いまではあの時のものに近づかないけど。

 

今からこんなに暑がっていたら夏は大変だろうなと思いながら、窓を開けて空気を入れ替える。

風が入ってこない日は、部屋よりも冷んやりとした空気がゆっくり少しずつ窓から流れ込んでくるのを、静かに感じてみる。

風が肌に当たる時の心地よさはないけれど、確かに違う温度の空気が顔の近くを流れていくのは冷んやりとして気持ちいい。

でも暑い。

 

早く読んでしまいたい本が2冊ある。それ以外に急がないけど早く開いて読みたい本が2冊。

そして少し読むタイミングを逃した本が2冊。

計6冊の本がすぐそばに待機している。

 

早く読んでしまいたい本のうちの一冊を手にとり読み進めていたところに、母から電話がかかってきた。

お互いの近況を報告をしあううちに、あっという間に時間が過ぎていく。

畑にトマトを植えているらしい。すでにいくつか実がついていて、食べてみたら甘くて美味しかったそうだ。

元気に過ごしているようで良かった。

 

部屋の暑さのせいか、畑の話を聞いたからか、トマトの青臭い匂いを思い出す。

むわっとした熱気とざらついたトマトの茎や枝。熟れすぎて弾けて割れた実。

 

台所で麦茶を飲む。ここが部屋の中で一番涼しい場所かもしれない。

日中のうちにたくさん陽が差し込んだ部屋は、夜になってもなかなか熱が冷めず、明け方になってようやく冷んやりとしてくる。

 

夏が近づいている。

今年は例年以上にいっぱい汗をかけたらと思う。

 

暑さで火照った体で、今夜も本を読む。